2008年12月5日金曜日

●おんつぼ06 キャブ・キャロウェイ 山田露結


おんつぼ06
キャブ・キャロウェイ Cab Calloway

山田露結

おんつぼ=音楽のツボ




1930~40年年代に大活躍したジャズ界きってのエンターテイナー、キャブ・キャロウェイです。派手なスーツ姿、おどけたパーフォーマンス、ハーレム・ジャズ独特のジャイヴ感溢れる演奏、デタラメ気味の豪快なスキャットなどなど強烈なインパクトで人気を博しました。

ビ・バップ登場以降のジャズは実験性の強い芸術思考の音楽になって行きますが、この時代のビッグ・バンドの演奏を聴いてると当時ジャズが極めて大衆的なダンス音楽だったということがわかります。

キャブのバンドには後にチャーリー・パーカーらとともにビ・バップの立役者として活躍したディジー・ガレスピーが在籍していたことがあります。

ディジーは当時、それまでのジャズに飽き足らず、あらゆる要素を取り入れながら新しい音楽を模索していました。あるとき、ディジーがリハーサルの合間にバンドのメンバーとコード(和音)を分解してインプロヴァイゼイションして遊んでいたところ、キャブは「そういう中国みたいな音階はオレのバンドでは出すな。」と言って怒ったそうです。

そのことから二人の関係がギクシャクしたのかどうか、ステージで演奏中に誰かがキャブに紙つぶてを投げたのをディジーの仕業と思い込んでイザコザとなり、それが原因でディジーはバンドをクビになってしまいます。そのことを根に持ったディジーはなんとキャブを背後からナイフで切りつけるという事件を起こします。

何とも大人気ないエピソードですが、こんな話を聞くとあの奇才ディジー・ガレスピーもただのチンピラだったんだ、と妙な親近感が沸いてきます。ま、ようするに二人とも根っからの音楽バカだったということでしょう。

キャブはその後も自らのスタイルを変えることなく生涯、色物エンターテイナーとしてステージに立ちました。映画「ブルース・ブラザース」ではキャブ73歳の勇姿を見ることが出来ます。


痛快度 ★★★★★
大衆芸能度 ★★★★★


〔おすすめアルバム〕 ハイ・デ・ホー・マン

Cab Calloway - Minnie The Moocher (Blues Brothers 1980)

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