2008年12月27日土曜日

●おんつぼ10 シティ 松本てふこ


おんつぼ10

シティ The City


松本てふこ

おんつぼ=音楽のツボ






93~94年の冬のこと。NHKの『ナイトジャーナル』を何かの用事でビデオ録画したので見ていたら、番組がCDコーナーに変わって萩原健太が「キャロル・キングがソロデビュー前に結成した幻のバンドのCD」を紹介していた。「60年代、ジミヘンやジャニスが体現していた、音楽で世界を変えられるという熱さと、70年代のシンガーソングライターが描いた内向的な世界との狭間にある音楽」といった主旨の紹介と収録曲のオンエア、合わせても数分しかない映像。好きになった曲は一曲単位で一日中聴き倒すタイプだった当時12歳の私の中のどこかのスイッチが入ったのか、以後狂ったようにそのビデオを観まくるようになった。ほどなくそのCD、THE CITY『NOW THAT EVERYTHING'S BEEN SAID』を買って、やはり狂ったように聴きまくった。

特に聴き狂っていたのは、TVで紹介されていた3曲目の表題曲。2分半弱しかない曲の中にどキャッチーなサビとめまぐるしいメロがぎゅうぎゅうに詰め込まれている。部分部分のメロディの綺麗さに気を取られているうちに曲が終わってしまうため、一回聴き終わるたびに「…もう一回聴こう」と再び再生ボタンを押してしまい、結局一日に五回だの十回だの聴いてしまう訳である。なお、この曲ではキャロル・キングののほほんとした歌声がスピーカーの右から左から輪唱のように聴こえてくる。ヘッドホンで聴くと美メロを歌い上げるキャロル・キングが一人二人…あれ、三人!? と増殖していくようで痛快でもありちょっと奇怪でもあり。「熱い時代と内向の時代との狭間」という言葉が似合わない、演奏の風通しの良さもちょっと不思議。狭間だからこその自由? 良く分からないけれど。

この季節には1曲目「Snow Queen」もオススメ。こういう歌が似合う街が、本当の都会ではないのかなとずっと思っている。

内向度  ★★
美メロ度 ★★★★★


〔おすすめアルバム〕 NOW THAT EVERYTHING'S BEEN SAID


Now That Everything's Been Said


Snow Queen

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