2011年7月8日金曜日

●金曜日の川柳 樋口由紀子


樋口由紀子
  







七月の雨にっぽんが濡れている


大西泰世 (おおにし・やすよ) 1949~


この句は7月3日に開かれた第62回玉野市民川柳大会の兼題「日本」の題詠吟で、岡山県知事賞を獲得した。兼題は半年以上前から決まっていたが、「日本」は東日本大震災以前と以後では変わってしまった。「七月の雨」は夏の水不足に備えての恵みの雨のはずである。しかし、今はそのようなプラス思考の読みはできない。震災が人の心にもたらしたものは大きく、つらくてやるせない。悲しくて日本が濡れているのだ。現実が言葉を超える。

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