2011年9月16日金曜日

●金曜日の川柳 樋口由紀子


樋口由紀子
  







菊貰う菊より美しい人に

丸山弓削平 (まるやま・ゆげへい) 1907~1990

菊の美しい季節になる。私は田舎に住んでいるので、田畑には菊がよく植えられているのをよく目にする。それらは菊花展に出品するような豪華で丹精のこめたものではなく、野菜が植えられている隅に仮住まいしているように咲いている。そのほとんどは小菊である。子どものころ(生家も田舎だったので)、なぜ田畑に菊を植えるのかが不思議でならなった。だれに見せるつもりのものなのかと思った。あとでそれは仏壇や墓に供えるためのものだと知り、納得した。

仏さんにと菊をもらったのだろう。そう言ってくれた人は美しかったのだろうが、そのように思った弓削平の心根のやさしさがあらわれている。

岡山県のほぼ中央に川柳の町「弓削」がある。丸山弓削平は戦後の混乱の中、「川柳によって新しい町づくりをしよう」と昭和24年に弓削川柳社を創立し、「川柳の町」運動に尽力した。

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