『静かな場所』No.9(2012年9月15日)……西原天気
A5判、本文22ページ。発行人・対中いずみ。
巻頭の招待作品は関悦史(句集『六十億本の回転する曲がった棒』が第3回田中裕明賞受賞)の「ガラス」15句。
コバルトブルーのロブスター捕れ積乱雲
このロブスターは見た(ネットで、だけれど)。題材それ自体は目の前の日常なのだろう。句はメモのようなものだ。言葉の様相は作家によってさまざま。「ガラス」15句における語のハンドリング、誂えは、きわめて自由気ままで、そこに好感。
サメら泳ぐロビーや水槽壊れては 関悦史
同人各氏の作品は見開きに15句ずつ。
蜥蜴見て喉乾く日でありにけり 木村定生
雨垂は壁にさはらず沈丁花 対中いずみ
太陽のはりついてゐる厚氷 満田春日
淡雪やレコード盤のゆらゆらと 森賀まり
一巻の欠けし事典を曝しけり 和田 悠
繰り返すが、言葉の様相は作家によってさまざま。(関悦史「ガラス」のように)定型(五七五)をはみ出す自由、定型に収める自由。
対中いずみ句集『巣箱』鑑賞が2本(岸本尚毅、満田春日)。
(…)美意識と無常の思いがバランスのとれた形で、その作品に素直に現れていると思います。明るく白っぽい光が基調にあります。(岸本尚毅)青木亮人「はるかな帰郷 田中裕明の「詩情」について」は連載の第3回。巻末には同人各氏による田中裕明作品の一句鑑賞がある。
連絡先メール zws10134@nifty.ne.jp(対中いずみ)
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