2012年9月8日土曜日

【俳誌拝読】『静かな場所』No.9

【俳誌拝読】
『静かな場所』No.9(2012年9月15日)……西原天気


A5判、本文22ページ。発行人・対中いずみ。

巻頭の招待作品は関悦史(句集『六十億本の回転する曲がった棒』が第3回田中裕明賞受賞)の「ガラス」15句。

コバルトブルーのロブスター捕れ積乱雲


このロブスターは見た(ネットで、だけれど)。題材それ自体は目の前の日常なのだろう。句はメモのようなものだ。言葉の様相は作家によってさまざま。「ガラス」15句における語のハンドリング、誂えは、きわめて自由気ままで、そこに好感。

サメら泳ぐロビーや水槽壊れては  関悦史

同人各氏の作品は見開きに15句ずつ。

蜥蜴見て喉乾く日でありにけり  木村定生

雨垂は壁にさはらず沈丁花  対中いずみ

太陽のはりついてゐる厚氷  満田春日

淡雪やレコード盤のゆらゆらと  森賀まり

一巻の欠けし事典を曝しけり
  和田 悠

繰り返すが、言葉の様相は作家によってさまざま。(関悦史「ガラス」のように)定型(五七五)をはみ出す自由、定型に収める自由。

対中いずみ句集『巣箱』鑑賞が2本(岸本尚毅、満田春日)。
(…)美意識と無常の思いがバランスのとれた形で、その作品に素直に現れていると思います。明るく白っぽい光が基調にあります。(岸本尚毅)
青木亮人「はるかな帰郷 田中裕明の「詩情」について」は連載の第3回。巻末には同人各氏による田中裕明作品の一句鑑賞がある。


連絡先メール zws10134@nifty.ne.jp(対中いずみ)


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