2012年9月29日土曜日

●崖



着ぶくれて崖の匂ひをつれてくる  喜田進次

遺産から二百十日を引いた崖  佐山哲郎

杉の暗さの崖の滴り食器置かれ  桜井博道

菫咲き崖にやさしき日ありけり  石塚友二

ラムネ瓶太し九州の崖赤し  西東三鬼

爆音や霜の崖より猫ひらめく  加藤楸邨

土用波わが立つ崖は進むなり  目迫秩父

葛の崖重油の匂ふところあり  谷口智行〔*

花いばらレ点で雨の崖に出て  岡野泰輔〔*

夏帽子頭の中に崖ありて  車谷長吉


〔*『俳コレ』(2011年12月・邑書林)より



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