浅沼璞
文を好むきてんはたらく匂ひ哉 岡西惟中
『時勢粧(いまやうすがた)』(寛文十二年・1672)
「文を好むき」だから好文木、つまり梅のことである。
それに「き転はたらく」を言い掛け、梅の香へともっていく。
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周知のように、「晋の武帝が学問に親しむと花開き、怠ると散りしおれた」という故事から好文木という。
「文を好むき」だから好文木、つまり梅のことである。
それに「き転はたらく」を言い掛け、梅の香へともっていく。
「学問」→「気転」という連想から、「匂ひ」へと転じるあたり、連句的である。
ただし「梅」という表記はなく、いわゆる談林的「抜け」風の一句。
惟中(いちゆう)は歌学・漢学をこなし、貞門のみならず、談林内部でも論争をよくした。
西鶴ともライバル関係であった。
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