樋口由紀子
お祝いに骨を鳴らしていただいた
きゅういち 1959~
こんなお祝いの仕方もあるのだ。「いただいた」と言っているのだから、骨を鳴らしてもらって、作者も喜んでいるのがわかる。おめでたい話を聞いて、咄嗟にどうやって祝福しようかと考えて、クラッカーとか音を出すものが手元に何もなかったので、とりあえず鳴る関連で骨を鳴らしたのだろう。
もう一つ仕掛けがある。「骨を鳴らして」とは字面だけを見ると、白骨を叩くのかと想像して、一瞬どきっとする。しかし、そんな大それたことではない。指の関節をポキポキと鳴らすだけである。どきっとさせるのも作者の意図だろう。骨関連では「骨を抜く」「骨を折る」「「骨を砕く」などが同類だろう。どれも字面だけを見ると引いてしまう。言葉の落差が生む可笑しさを書いている。
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