2008年7月29日火曜日

俳句に似たもの

俳句に似たもの ● 上田信治



野球で、外野に、いい当りが飛んだとする。
たとえばフェンスに当ったボールを、外野手がうまくさばいて返球。
打ったランナーは自重、一塁にとどまる。

このときプロ野球なら、外野から、二塁ベース上の内野手にぴたりとボールが返ってくる。

内野手は、ボールを受けたら、バッターランナーが走り込んできた場合のために、必ず「タッチ」の動作をする。

(すでに、野球を見ない方には、まったく何の話か分からないと思いますが)その「タッチ」の動作が、内野手にとって「自動化」されていることの「美」。その「美」には、「季語」に通じるものがある。

「ああ、あれあれ」という喜び。

そして、野球を見ているとき「あれ」を見られないかな、と楽しみにしているということが、ちょっと俳句に似ているような気がする。


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