暮らしの歳時記 「鯰」 ● 山本勝之
ヴェトナムの乳母・ヤエちゃんが、ナマズの干物を送ってくる。
産まれたばかりの僕に、乳首を含ませてくれた大切な人だ。ダンナさんは、いまだにそのことを根に持っていて、会うたびに、「アンタ、ワタシより先に乳首吸ったね!」と文句を言う。 もう80歳なのに。
熱帯の音楽が聴きたくなって、サリフ・ケイタ、フェラ・クティ等をでたらめに、次々とかける。ナマズを焼いて、缶ビールを開ける。ウマイ!
鯰【なまず/なまづ】晩夏
ナマズ科に属する淡水魚である。体長は50センチぐらいにまで成 長する。灰黒色で頭部と口が特に大きく、4本の口ヒゲを持つ。体の表面は粘液でおおわれているので、ぬらぬらしていて素手ではつかまえにくい。従って、語 源には「ナメラカ」(滑らか)あるいは「ハタウオ」(滑肌魚)などの説もある。5、6月頃、水草に卵を産みつけて繁殖するので夏の季に入れる。琵琶湖特産 のビワコオオナマズはよく知られている。食用にするが、「味はやや佳なりとするも、ただ膾(なます)および蒲鉾(かまぼこ)のみ、その余は食ふべからず」 (『本朝食鑑』)ともある。〔広瀬直人〕 講談社『日本大歳時記』より
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2008年7月24日木曜日
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