〔俳誌拝読〕
や
第50号/記念号・2009春(2009年3月31日発行)58頁
戸松九里氏が発行人を務める季刊誌。
巻頭からひとり1ページ10句ずつの同人作品が掲載されている。上段が俳句、下段が短文という構成で、おひとりおひとりの個性がよく見えるつくりになっている。
賽銭の光となりぬ初御空 戸松九里
ゆりかもめ水心とはくすぐつたい 関根誠子
日の昏るるまでに間のある初戎 菊田一平
手袋に手袋重ねおく昼餉 麻里伊
寒波乗せエスカレーターのすれちがふ 三輪初子
湯たんぽたんぽしっぽの散歩ぽっかぽかぽ 吉野さくら
行く人は蕎麦屋の湯気のようなもの 中村十朗
嘘つくとおしやべりになる冬の星 遠藤きよみ
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続いて、同人外部の執筆者による「『や』49号を読む」が見開き2ページ。本号は坪内稔典氏の選による句評が並ぶ。
そのあとに吟行や各地の句会、特別作品の記事。多くの俳句とともに写真がふんだんに使われていて、見やすい誌面になっている。50号記念企画として、各同人が過去の号から面白い俳句を拾って講評した「なんじゃこりゃ俳句」には、同人の間にある和やかな絆がうかがわれる。
「おそれおおくも やが選ぶ高浜虚子」では、それぞれに虚子の1句を選んでの1句講評。「音を詠む」では、「音」をテーマに詠まれた7人の句が5句ずつが掲載されている。「九里の旅俳」は、戸松九里氏による俳句から少し離れた旅のエッセイで、文末に添えられた戸松氏の1句で俳句と繋がる粋な構成。この号ではセザンヌのアトリエが紹介されている。
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全体に、それぞれのコーナーに同人が広く参加しておられる印象を受けた。本誌の背景にある和気藹々とした句座の雰囲気が伝わってくる。
(村田 篠)
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2009年4月30日木曜日
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